ボイストレーニングをする上での口の横開きと縦開きの関係

口の横開きと縦開きの関係イメージ

歌をうたう上で、口の開き方はとても重要な要素になります。

みなさんも、昔の音楽の授業やテレビなどで、音楽の先生が「もっと口を開けて歌いなさい!」と注意された経験や注意をしている姿を見た事があるのではないでしょうか?

口の開き方一つで

  • 声の抜け方
  • 共鳴のかけやすさやかかり方
  • 声帯の働き方

など、様々な要素に影響を与えます。

そして、口の開き方には大きく分けて

  • 横開き
  • 縦開き

の2種類があります。

この2つの開け方はどちらがいい、悪いという事はありません。

それぞれに特徴があり、メリット・デメリットがあります

なので、みなさんの発声のレベルや鍛えたい箇所によって「横開き」を推奨する時があれば、「縦開き」を推奨する時もあります。

また、上級者になってくると、ボイストレーニング的な意味合いだけではなく、歌に感情表現をつける時にも使い分けられます。

「横開き」と「縦開き」によって、声の質も変わってきますので、歌の雰囲気やフレーズに合わせて変化させていくのです。

このコラムでは、そんな「横開き」と「縦開き」の特徴やメリット・デメリット。

そして、最近流行っている歌手の口の開け方はどうなっているのか?

などを学んでいただければと思います。

横開きの特徴やメリット・デメリットと与える影響

まずは、歌をうたう上で横開きが与える影響や特徴、メリット・デメリットを紹介しましょう。

まず、横開きとはどんなイメージかと言いますと下の図ように、笑顔をイメージした口の開き方です。

図1

母音の「い」や「え」を発声する時のような口の開け方で、口角をグッと上げるイメージです。

横開きの特徴としては、高い倍音が発生しやすいので、声質が明るくなり、ハリが出来てきます

※倍音に関して詳しく説明すると、難解になりますので

  • 高い倍音が発生する⇒声質が明るくなる
  • 低い倍音が発声する⇒声質が暗くなる

というイメージを持ってコラムを読んで下さい。

そしてメリットとしては、「2-2:主に高音で活躍し、声にハリを持たせる鼻腔」でも紹介した、鼻腔に共鳴させやすい特徴がありますので、鼻腔共鳴を鍛えるボイストレーニングを行う時に用いる事も多いです。

そして、鼻腔に共鳴しやすく声質が明るくなりハリが出るという点を考慮して、高い声を出す時にフラットしやすい方に横開きを推奨する事も多々あります。

もう一つのメリットとしては、声帯の閉鎖を強めてくれる点です

別コラム「【まとめ】ミックスボイスを習得して高い声で歌う方法」でも紹介しましたが、強いハリのある声を出すには適度な声帯の閉鎖が必要になります。

なので、声帯が開き気味の方や上のミックスボイスのまとめコラムで紹介している「3-3:no close(ノークローズ)声帯を閉鎖できないの方の症状」の症状の方に声帯の閉鎖を強めるという観点でボイストレーニング時に推奨する事が多々あります。

反対にデメリットを紹介しておきましょう。

一つ目のデメリットは横開きをする事によって、high liftを起こしやすいというデメリットがあります

high liftに関する詳しい説明は「3-2:high lift(ハイ リフト)高音発声時に喉仏を過剰に持ち上げてしまう方の症状」に書いてありますので、ぜひお読みください。

また、先にメリットとして伝えた「声帯の閉鎖を強めてくれる」という点が人によってはデメリットになります

3-1:mo extend(ノーエクステンド)声帯を柔軟に伸ばす事ができず、高音部分で叫びあげてしまう方の症状」の方にとってはデメリットの方が強く出る場合があります。

そのような状態の方が「横開き」を中心の発声をすると、ますますその症状を悪化させてしまうので注意が必要になりますので。

縦開きの特徴やメリット・デメリットと与える影響

次は縦開きが歌をうたう上で与える影響や特徴、メリット・デメリットを紹介しましょう。

縦開きはどんなイメージかと言いますと、下の図のようにあくびをする時のような口の開け方です。

図2

母音の「お」を発声する時のような口の開け方です。

縦開きの特徴としては、低い倍音が発生しやすいので、声質が重く、深みが出るのが特徴です

そして、メリットとしては「2-3:主に低音で活躍し、声に深みを持たせる咽頭腔」で紹介した咽頭腔に共鳴させやすい特徴がありますので、咽頭腔共鳴を鍛えるボイストレーニングを行う時に用いる事が多いです。

もう一つのメリットとしては、声帯の閉鎖を緩めてくれる点です

3-1:mo extend(ノーエクステンド)声帯を柔軟に伸ばす事ができず、高音部分で叫びあげてしまう方の症状」の症状の方に声帯の閉鎖を緩め適度にするという観点のボイストレーニングとして推奨する事が多いです。

反対にデメリットを紹介しておきましょう。

声帯の閉鎖を緩めてくれるという事は、声帯の閉鎖を強めないといけない「no close」の症状の方にとっては一時的に縦開きを制限する場合があります。

また、ある程度ボイストレーニングのレベルが上がり、声帯や声帯に関連する筋肉を柔軟かつ適切に使えるようになってきて、ミックスボイスを身につける段階になった方も、声帯を緩める効果は逆効果になるので一時的に制限をかける場合があります。

また、もう一つのデメリットとしては、横開きよりも音がフラットしやすいので、音感が未熟な方だと正確に音程を取るのが難しいという点もあります。

大切なのは口の前側ではなく、奥側である

さて、ここまでで「横開き」と「縦開き」に関してそれぞれの特徴やメリット・デメリットを紹介してきました。

ボイストレーニングの基本は口を大きく開ける所から始まるのですが、ここで重要なポイントを説明しておきましょう。

口を開ける時に一番重要なのは、口の前側ではなく、奥側なのです

表情筋を使い、口周りや頬などを表情筋を使い開ける事も大切なのですが、下の図で解説している通り、最も重要なのは口腔の奥を開ける事なのです。

図3

この事を話した上で、最近流行っている歌手の口の開け方について解説をしましょう。

最近流行っている歌手の方はあまり大きく口を開けない方が多いです。

そういう声質、音色が最近人気なので、敢えてそうされている方が多いのです。

しかし、そういう方達も口の奥はしっかりと開いています。

口の奥はしっかりと開いているので、共鳴も確保されていますし、声帯をコントロールする事ができるのです。

しかし、ボイストレーニング初心者の方は、まだそのようなコントロールができない方が多いのです。

そして、口の前側と奥側は連動しやすいので、まずは表情筋などを使って口の前側を大きく開けるのに慣れてもらう。

その上で口の奥側を開ける事に慣れてもらいたいのです。

その結果、口の前側も奥側も切り離してコントロールできるようになりましたら、曲のジャンルや雰囲気によって口の開け方を使い分けていく。

このようなイメージを持って下さい。

まずは基本となる「横開き」「縦開き」をしっかりと意識しながら日々のボイストレーニングに励んで下さいね!

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