高い声で歌う際に避けては通れない喉仏の説明

喉仏の説明

歌が上手くなりたくて、ボイストレーニングについて詳しく調べていくと、喉仏に関する情報を多く目にすると思います。

喉仏の位置を自在にコントロールできるようになると、声帯のコントロールもしやすくなりますので、歌声のレベルが変わります

特に喉仏の状態は、高い声で歌う時に大きく影響が出るのでボイストレーニングの中でも訓練しておかないといけない大きな課題でもあります。

今まで高い声がほとんど出せなかった人でも、喉仏の位置をコントロールできるようになる事により、高い声が一気に出る人も数多くいるほど、喉仏は高音発声時に大きな影響を与えます。

今回のコラムでは、そんな喉仏に関する情報を詳しく説明してみたいと思います。

※このコラムには声帯と共鳴に関する話しが出てきます。

なので、内容ををより深く理解する為に、

【まとめ】ミックスボイスを習得して高い声で歌う方法

【まとめ】声量を鍛える為の共鳴トレーニング

を先にお読みいただく事をお勧めします。

high lift(ハイリフトとは)

歌っている際の喉仏の状態を表現する際に注意しないといけないのは喉仏の位置です。

  • 「high lift」とは「(特に高音発声時に)過剰に喉仏が上に上がっている状態」

を意味しています。

(特に高音発声時)と書かせていただきましたのは、「high lift」はあくまでも喉仏の状態を指す言葉だからです。

低音発声時で喉仏を上げた状態にする事も可能です。

high liftは絶対的な悪なのか?

そして、ボイストレーニン初心者の方は、高い音を歌う際にボイストレーナーから喉仏を下げるよう指示される方がほとんどだと思います。

そのせいか、「高い声を歌う際に喉仏の位置が高い事は悪=high liftは悪」というイメージを持たれている方が多くいらっしゃいますが本当にそうなのでしょうか?

先に私の結論を書いておきますと

「歌う際に喉仏の位置が全くコントロールできずに、高い声になると首筋が立ってしまうほどhigh liftを起こすのは悪である。

しかし、ボイストレーニングをある程度積み、高い声で歌う際でもある程度喉仏の位置をコントロールできるようになっているのであれば、意図的にhigh liftを起こして歌うのは有効な歌唱法の一つである

です。

その上、私はある特定の症状の方やボイストレーニング中級ぐらいのレベルになると、意図的にhigh liftを起こしてもらい発声するボイストレーニングも推奨しています。

それらの理由をhigh liftや過剰に喉仏を下げ過ぎている状態、それぞれの特徴を説明しながらお話ししていきたいと思います。

喉仏を下げている時の特徴とメリット・デメリット

喉仏を落として発声すると声帯がリラックスし、声帯の閉鎖が緩まりやすくなります。

また喉仏の位置が下がる事により、下の図の咽頭腔が広がり、低い周波数の倍音が含まれ歌声に深みが増します。

ローラリと咽頭腔

高い声を出す際に喉仏をコントロールできず、どうしてもhigh liftになってしまう人の為に、喉仏の位置をコントロールできるようになる為のボイストレーニングの手法として喉仏を落とす発声がよく利用されます

また、声帯をリラックスさせ、閉鎖を緩めてくれる作用もあるので、声帯を硬直させてしまい、閉鎖が強すぎる状態を適度にしてくれる効果もあります。

反対にデメリットとしては、喉仏を落としたまま歌うと共鳴が深くなるのでオペラのような歌声に近くなります。

なので、最近流行っているような曲を歌うには少し、雰囲気が違った歌声になってしまう場合があります。

また、声帯の閉鎖を緩めてくれるという事は声帯の閉鎖を強めたい、声帯の閉鎖が緩すぎる人にとっては逆効果になってしまうので注意が必要です。

high liftの特徴とメリット・デメリット

high liftは先に説明しましたが、歌う際に喉仏の位置が高い状態の事を指します。

high liftを起こすと下の図のように咽頭腔が狭まりますので、声に高周波数の倍音が含まれ、同じ高さの音を歌っていても喉仏を落としている時に比べて明るく聞こえてきます。

high liftと咽頭腔

また声帯に緊張が走り、 声帯の閉鎖を強める事ができるので、ハリのある強い高い声を出す際に意図的にhigh liftを起こして歌うプロのアーティストも数多く存在します

例えば、ホイットニーヒューストン

彼女は高いボーカルテクニックを持っていて曲やフレーズによって喉仏の位置を見事に使い分け、声帯や共鳴腔も高いレベルでコントロールしています。

そして、下で紹介している動画の曲ですが、この曲の盛り上がる高音部分ではほとんど適度にhigh liftを使っているのですが、特に分かりやすいのは3:45から。

突き抜けるようなハリと力強い高音を出す際に適度にhigh liftを起こしています。

(動画が再生されない場合はコチラで見て下さい!

YOU TUBE

また、男性の例を上げますと、B’zの稲葉さんもhigh liftのメリットを利用して、力強い高音を歌う事が多々あります。

(動画が再生されない場合はコチラで見て下さい!

YOU TUBE

上の動画の高音部分のような声ですね。

もう一人例を挙げるとミスターチルドレンの桜井さんもよくhigh liftのメリットを利用して高音部分を歌います。

(動画が再生されない場合はコチラで見て下さい!

YOU TUBE

上の動画の3:02のような高音部分ですね。

ミスターチルドレンの曲はメッセージ性が強く、振り絞るような歌声がマッチするので、上記の2人よりもより強めにhigh liftを起こし高音部分を歌いあげています。

そして、ボイストレーニングの中でも一時的にhigh liftの症状を起こす場合もあります。

声帯の閉鎖が緩く、低い音でも高い音でも弱弱しい声しか出せない方、いわゆるno closeの方のボイストレーニング。

声帯を閉鎖させる筋肉や声帯を伸ばす筋肉を鍛える事を目的として、わざと一時的にhigh liftを起こしてトレーニングを行うのです。

そして、ボイストレーニング中級レベルになり、高い音でもある程度喉仏の位置を低く保てるようになり、声帯を柔らかく維持できるようになった方には、ミックスボイスを作る途中過程で一時的にhigh liftを起こす事もあります。

そうする事により、声帯の閉鎖が強まり、ハリのある力強い声を育てていく事ができるのです

上記のように力強くハリのある高音を出す手助けをしてくれるのがhigh liftのメリットですが、もちろんデメリットもあります。

その説明は次の項目で説明しましょう。

high liftはなぜ悪と言われるのか?

ボイストレーニングや歌の世界では、「high liftは悪だ!」と思われている方がたくさんいらっしゃいます。

私自身もhigh liftの危険性やデメリットは重々承知しています。

「high liftは悪だ!」と言われる一番の理由としては、声帯への負担が著しく高い事でしょう。

その理由を説明していきます。

まずは下の図のように、自分の首に手を当てて喉仏の位置を確認してみて下さい。

確認ができたら、そのまま唾を飲み込んでみて下さい。

唾を飲み込む瞬間に喉が締まる感覚と喉仏が上に上がるのが確認できると思います。

これは何が起こっているのかと言いますと、人間は物を飲み込む時に喉を閉めて、その働きによって胃へと流し込むのです。

その一連の動きの中に喉仏を上げるという動作が含まれています。

という事は、反対に言い換えると、喉仏が上がると喉は閉まってしまうという事が言えるのです。

喉が閉まるという事は、声を共鳴させる共鳴腔も著しく狭まります。

そして、なにより声の通り道を閉じてしまうので声が出にくくなりますし、声質も変になってしまいます。

まるで、首を締められたような体感、声質になるのでこのような状態を喉締めで歌っている状態と表現される事もあります。

そんな状態で大きな声を出そうとすると声帯に多大な負担がかかり、すぐに喉を傷めてしまいます

また、過度なhigh lift状態で高い声を出そうとすると、声帯に過度な緊張とストレスが加わるのでどんどん声帯が硬直していきます。

硬直した声帯で声を出そうとしても、上手くコントロールできず声も不安定になります。

その上、声を出す度に声帯に大きなダメージを与えてしまうのですぐに喉を枯らしてしまうのです。

そして、ボイストレーニングを受けた事のない方が力づくで高い声を出そうとすると首筋が浮き上がる程、喉仏が上がり極度の首絞め状態になります

ここまで過度なhigh liftになると歌う事に何のメリットもなく、声帯にとって危険なだけなので真っ先に克服すべきポイントになるのです。

high liftを歌で使うとはどんな状態か?

では、先に説明したアーティストさん達はどのようにしてhigh liftを歌に使っているのでしょうか?

まず大前提として、上記に上げたアーティストさん達は高いレベルのボーカルテクニックを持っているので、喉仏の位置を高くも低くもコントロールする事ができます。

そして、声帯や声帯に関連する筋肉も柔軟に使えるようになっています。

その上で、過度な喉締め状態にならないよう、首筋が立たないレベルで通常時よりも少し喉仏を上げて声帯に適度な緊張を与え強くハリのある高音を作り上げています

また、共鳴腔の確保も同時に行っています

喉仏を上げると下の図のようにどうしても咽頭腔が小さくなってしまいます。

そこで、舌の奥の方を通常時よりも下げる事により、口腔を大きく保ち共鳴腔を確保し補っているのです。

これら、一連の動作を瞬時に行う為には、声帯トレーニング、共鳴トレーニング、舌を柔軟に使うトレーニングなどを修練しておく必要があります。

しかし、それらの技術をマスターすると、high liftのデメリットや危険性を和らげると同時に歌声にハリと強みを加える事が可能になるのです!!

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